2012/06/30

110630_APP arts program_34

今回のプログラムではゲストに京都市立芸大の森野彰人先生をお迎えしました。発表では「明治から戦後までの京焼について」、「富本憲吉の轆轤について」という二つのお話をしていただきました。まず、京焼については、明治期の窯元制や輸出工芸品、さらに京都陶磁器試験所や遊陶園といった組織を中心にご紹介していただきました。また富本の轆轤については、富本が京都市立芸大で教鞭を取っていた時の文章をふまえつつ、作家の立場から富本の轆轤の魅力についてご発表を頂きました。また最後には、現代において京都でやきものをすることについてもお話いただきました。

 次回はゲストに京都芸術大学の大学院生の入澤聖明さんをお招きして「1970-80年代の現代陶芸(仮)」について発表をしていただきます。
次回APP arts program_35は、【7月6日(土)19:00−@陶芸コース資料室】で行います。是非お誘い合わせの上ご参加いただければと思います。

2012/06/23

110622_APP arts program_33

今回のプログラムでは「富本憲吉と古陶器」について発表を行ないました。
 富本憲吉は、英国留学時代にサウス・ケンジントン博物館で工芸品(古陶器)を湛然にスケッチした。英国から帰国した富本は、古陶器に自らの制作のルーツを求め、それらの「模様」を写した楽焼を制作した。しかしながら、富本は古陶器の「模様」という一点のみに関心を向けていたのだろうか。そこで本発表では、富本憲吉がどのような関心に基づき、古陶器をみつめていたのかについて考察していく。はじめに大正期の古陶器の受容を検証するために『外邦古陶器集成』を引き、さらに『陶磁器の美』における柳宗悦の古陶器、特に李朝陶器への視線に着目することで、富本との差異を指摘する。このような手続きを通じて、富本の古陶器への関心が美術工芸という枠組みの外に向けられていたことを指摘する。
 次回はゲストに京都芸術大学の森野彰人先生をお招きして「近世京焼(仮)」について発表をしていただきます。次回の事前テキストは【 中ノ堂一信「色絵陶器の誕生と展開」『アジア陶芸史』231-252】です。
次回APP arts program_34は、通常の日程から変更して【6月30日(土)15:00−@陶芸コース資料室】で行います。是非お誘い合わせの上ご参加いただければと思います。

中村 裕太

2012/06/21

110615_APP arts program_32

今回のプログラムでは「富本憲吉/白磁にみる“写し”の技法」について鈎一馬さんに発表してもらいました。今回の発表では、オリジナリティーを追求した人物であった富本が、「白磁の壺」というひとつの造形に行きつくまでにどのようなものと出会い、影響を受けてきたのかを考察し、富本が楽焼という普遍的なものの実践を獲得するに至った過程を振り返りました。そしてその先にあらわれてくる「白磁の壺」を通じて、富本がオリジナリティーをどのように形成していったのかを読み解きました。また、「写し」というキーワードを元に富本はモチーフというものとどのように対峙してきたのか、自己とモチーフの関係性とはどのようなものであるべきかなど、話し合いを進めました。
次回のプログラムでは中村裕太さんに「富本憲吉と古陶器」というタイトルで発表をしてもらいます。

次回APP arts program_33は【6月22日(金)19:00−@陶芸コース資料室】で行います。

山極千真沙

2012/06/13

120608_APP arts program_31

今回のプログラムでは「近代工芸への視点−民芸 柳宗悦と個人作家たち」という発表を行いました。「民芸」という一つの工芸運動をめぐって、民芸運動が提案した新しい工芸の視点、民芸運動の創始者である柳宗悦の工芸・民芸の価値観、民芸運動に関わった工芸作家たち、そして現在の民芸再興、についてそれぞれ柳の著書や事前テキストである乾由明の「第一章民芸の意味と特質」『原色日本の美術16陶芸(2)』の文章を元に考察しました。またその後、柳宗悦という思想家がどのように工芸を捉えていたのか、そこに作家とのどのような差異があったのか、思想におけるオリジナリティーとはどのようなものであったのかなどを話し合いました。次回は鈎一馬さんに「富本憲吉の形と色(仮)」というタイトルで発表をしてもらいます。次回の事前テキストは【富本憲吉「形と色」『製陶余録』21〜28頁】です。
次回APP arts program_32は【6月15日(金)19:00−@陶芸コース資料室】で行います。

山極千真沙




2012/06/02

120601_APP arts program_30

今回のプログラムは諸事情のため予定を変更し、メンバーでのディスカッションを行ないました。前期のプログラムで扱ってきた富本憲吉の作品や姿勢というものが今日の私たちにとってどのようなリアリティがあるのか。また具体的な制作においてどのように有効であるのかについて話し合いました。今回のディスカッションをもとに今後のプログラムの発表の内容を考えていければと思います。
次回は山極千真沙さんに「近代工芸への視点−民芸 柳宗悦と個人作家たち」というタイトルで発表をしてもらいます。次回の事前テキストは【乾由明「第一章民芸の意味と特質」『原色日本の美術16陶芸(2)』小学館】です。

次回APP arts program_31は【6月8日(金)19:00−@陶芸コース資料室】で行います。

中村裕太